中八人山で死ぬかと思った・・・。

まこっさん

2011年11月10日 21:24

大峰山系の中でも有数のアプローチの遠い山である、中八人山(1396.5m)に単独で行ってきた。
この、訪れる人もまれなヤブ山で、エラい目にあってしまった・・・。
今回は熟練者向けのマニアックなルートなので、余裕を持って午前3時半に大阪市内から出発したんであるが・・・。

台風による災害の修復工事で、国道168号線が午前7時まで、まさかの通行止めになっていた。
仕方がないので午前7時まで仮眠を取ったが、おかげで1時間30分のロスとなってしまった。

で、登り始めたのが午前8時半。
今回辿った登山ルートは、高津川出合からの尾根ルートで、登山地図には点線さえ載ってない。

高津川出合の駐車スペースに車を置き、どこか尾根に登れる場所はないかなーと北へ数十m歩いてみると、
ありました!登れそうなとこが。









いきなりクワガタを発見!
コイツはコクワガタだろうか?それともミヤマクワガタ?









今回は終始尾根筋を歩いていくルートで、登山地図の1151m地点、1261m地点を経由し、
西八人山、中八人山、南八人山と巡っていく予定。
なので、とりあえずは尾根に出ないとイカン・・・。









このルートには基本的にテープは無いが、ごくまれに、かつてこのルートを辿った人がテープを貼ってくれている。









おー、ちゃんと道になってるじゃないか。
でも角度はかなり急で、50度くらいあるんじゃなかろうか。









またテープがあった。
人の気配が全くない深山でテープを見つけると、なんかホッとするな。









しばらく歩くと、鹿ネットにぶち当たった。
この鹿ネットに沿って登っていくが、こいつが邪魔でとても登りにくい。









ちょっと小休止。
いい景色である。








背丈ほどの笹ヤブを掻き分けながら進むことが多いこのルート。
この季節だからいいが、夏だったら不快感すごいだろうな。

そして山頂近くまで登ると、ようやく快適な尾根筋となる。









西八人山から見た中八人山のピーク。
周囲には気持ちの良い高原が広がっている。









かっこいい木があったので、ツーショット。









そして、中八人山(1396.5m)のピークをゲット。









そして、目と鼻の先にある南八人山(1408m)。
こっちの方が標高が高い。









さて、あとは下山するのみだ。
下山ルートは往路は辿らず、登山地図の点線ルートを行くことにした。

しばらく下るとモノレール軌道と合流し、夕方4時には下山できるだろうとタカをくくっていたんだが・・・。









モノレール軌道から離れてしばらく進んだ尾根筋で道が不明瞭になり、どっちに行けばいいのかわからなくなった。
仕方がないので安全策をとるつもりで、モノレール軌道が伸びていった左の谷筋の方へ降りたのだが・・・。

モノレール軌道は下山口まで繋がっているはずだから、最悪道は無くてもそのモノレール軌道にしがみついてでも
沿っていけば、いずれは下山できると踏んだのである。

だが、そのモノレール軌道がみつからない。

ここで来た道をもう一度引き返して、モノレール軌道と合流する地点まで戻ればよかったのだろうが、僕は安易に
「まあ、谷筋を下っていけば下山できるだろう。」とタカをくくって谷筋を進むことにした。(これがマズかった)

そして沢を下っているうちに7~8m級のスラブが現れ、そのスラブをロープ無しで、必死のパッチで無事下りた直後であった。
(厳密にいえば下降する際に一度滑落しそうになり、なんとか踏みとどまったが左足スネを負傷した。幸運にも軽傷だったが・・・)


絶対に落ちてはいけないという緊張感と、全身の筋肉をフルに使って30分以上壁に貼りついていたために、
まともに歩くことも出来ないくらいにバテてしまったのである。


これには自分自身がなにより驚き、「エッ、いきなりこんなんなっちゃうの?」という感じで、これは体力が回復する
までにかなり時間がかかると思い、しばらく休んでから行動することにした。


実はこの日、この山に来るまでの168号線沿いにコンビニが無かったため、昼飯も買っていなかった。
なので腹ペコだったのだが、少しでも体力を回復しようと非常食用の「ソイジョイ」を口に放り込んではみるものの、
口の中が乾燥してしまっていてまともに食べることもできない。

なんとか無理やり沢の水で「ソイジョイ」を腹に流し込み、再び谷筋を進みだす。
しかしそれでも体力は回復せず、フラフラする足取りでゆっくり歩を進めていたのだが・・・。


今度は、絶対に下りることが出来ない滝にぶち当たる。


この時、すでに時間は午後3時を過ぎていた。
出来れば十分に休憩を取り、体力がある程度回復してから行動したかったが、あんまりゆっくりしていると
日が暮れてしまうという恐怖感があった。

その恐怖感というのは辺りが暗くなることに対してではなく、携帯の電波の届かないこの場所で、夜になっても帰らない
僕を心配して家族が警察に連絡するのではないかという恐怖である。


とにかく力をふりしぼって山肌に取りつき、まともに立つこともできない状態なので、「秘技・ハイハイ」
駆使しながら、なんとか尾根筋に戻ることに成功した。


しかし今度はその尾根筋の先が断崖絶壁で、仕方がないので今度は右の沢筋へ・・・。

そしてその沢筋を進んでいくと、今度はゴルジュが現れた。
この時期にゴルジュを泳いで突破など出来るはずもなく、さらに右の山肌を巻く。


その後も、沢筋で行き詰ると巻いてを繰り返し、体力はとうに限界を越え、しまいには両足の太ももがつりだしてくる始末。
そのうちにトップリと日は暮れてあたりは真っ暗になり、全く人の気配の無いヤブ山を一人さまよい歩くハメに。


なんでこんな目にあってるんだろう?俺。


山に行くときは必ずヘッデンを持っていくので行動はできるのだが、なんせこのヤマ、ヤブだらけで先が見えないのよ・・・。
先が断崖絶壁になってても直前までわかんないし。


ツェルトも持ってきていたので本気でビバークすることも考えたが、こうなったら再び沢筋に下りて、いけるとこまで
は進もうと思い、沢へ下りた。


すると、この時にはすでに登山口から高度100mくらいの地点だったためか、そこからはずっと浅瀬続きで足のつくくらいの
深さが続いた。


「よし、これなら行けそうだ!」と確信した僕は、ジャブジャブと川の中を登山靴を履いたまま進み、ついに赤テープ発見&
登山道にたどり着いたのであった。



ようやくカメラを撮る余裕ができた。
満身創痍である。










かくして、無事下山出来たのは午後7時半。
山では安易に沢筋におりてはいけないことを痛感した1日だった。

あと、こんな山では地形図がやっぱり必要やわ。
登山地図では等高線が見にくいし、5万分の1地図ではなおさらだ。


でも、この日はハイスペックの登山靴SIRIO(シリオ) 611-GTXを履いてきてて良かったと心底思った。
スニーカーだったらエライ目に遭っているところである。


それから、ジャージではなくちゃんとした登山用の上下を着てたので、終始ヤブ漕ぎ&秘技・ハイハイしたにもかかわらず、
たいしたケガもなく済んだ。

そうか、こういう状況になって初めて、ツールのありがたみがわかるのね。



翌日、かつて経験したことのないモウレツな筋肉痛に全身襲われたのはいうまでもない・・・。



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